本資料は6月11日にドイツ・バイエル社が発表したプレスリリースを日本語に翻訳編集したもので、報道関係者各位へ参考資料として提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語を優先します。原文はwww.bayer.com/media/en-us/をご参照ください。
ドイツ・バイエル社とブロード研究所、新規循環器治療薬の開発に向けて共同研究を延長
- 循環器疾患のヒトゲノム研究知見に基づく新規治療薬の共同探索に注力
- 現在は拡張型心筋症など循環器疾患の特定病型に対する治療選択肢にリソースを集中
- 心房細動患者の新規治療薬開発に向け健常ボランティアを対象とした第Ⅰ相臨床試験を開始
- 提携延長により心臓病に対する精密医療(precision cardiology)分野のパイプラインをさらに強化
ドイツ・ベルリン、米国マサチューセッツ州ケンブリッジ、2025年6月11日 ― ドイツ・バイエル社とブロード研究所は、循環器疾患を対象としたヒトゲノム研究の知見をさらに促進させるため、10年間の共同研究期間をさらに5年間延長したことを本日発表しました。今回の契約期間延長では、心臓病に対する精密医療における治療標的を共同で同定するとともに、確立済みのヒト心筋細胞プラットフォームを活用して科学的知見を迅速に検証しながら、新たな治療アプローチを創出することに重点を置いています。
現在、特に拡張型心筋症など、循環器疾患の特定病型の患者さんに対し、選択肢となり得る治療の開発に取り組んでいます。拡張型心筋症は、心腔の拡大を特徴とする心臓病の一種であり、血液を効果的に全身へ送り出す能力の低下を招きます。この状態を治療しないまま放置すると、心不全やその他の合併症を引き起こす可能性があります1。
2013年より長年にわたる本共同研究は、ゲノミクスや生物学におけるブロード研究所の幅広い専門知識と、低分子化合物や生物製剤の創薬におけるバイエルの豊富な経験を融合させることで、新規循環器治療薬の創薬研究を推進しています。この戦略的研究提携により共同で、すでに多くの論文公表・学会発表が行われています。また、この提携が道を開いた成果として、バイエルは2025年5月に、心房細動患者において心臓の細胞の電気的活動を制御する可能性を有する高選択的Gタンパク質共役型内向き整流カリウムチャネル4(GIRK4)阻害剤の第Ⅰ相臨床試験を開始したことを発表しています。
ドイツ・バイエル社医療用医薬品部門循環器・腎・免疫領域研究・早期開発責任者のアンドレア・ヘーゲバルトは次のように述べています。「当社は、世界中の何百万人もの人々に影響を及ぼしている循環器疾患を治療するための新規アプローチを常に検討しています。われわれは、さまざまな循環器疾患や腎疾患における新規の治療標的や治療法を探求し、必要としている患者さんに新たな治療選択肢を提供するという使命を共有しています。最初の共同治療プロジェクトは先月、臨床試験段階に入りました。ブロード研究所の卓越した科学者たちとのさらなる協働を通じて、循環器疾患の根本原因に対する疾患修飾治療薬を発見、開発できることを大いに期待しています」
ブロード研究所所長で創設主要メンバーのトッド・ゴラブ氏は次のように述べています。「ブロード研究所とバイエルが循環器研究におけるこの有意義な協働を継続できることをうれしく思います。ブロード研究所とバイエルが連携することにより、ともに単独では成し得ない進歩を遂げることができます」
アカデミアとの共同研究は、バイエルの研究開発戦略にとって不可欠です。特に循環器疾患などアンメットメディカルニーズの高い分野で、革新的な治療ソリューションを患者さんに届けることを目指します。循環器研究において、バイエルが戦略的に重視しているのは精密医薬品の開発であり、これにより最も有望な治療標的や事業化の見込めるプログラムを迅速に特定していきます。
バイエルは、米国マサチューセッツ州ケンブリッジのケンダルスクエアにあるブロード研究所に隣接する場所にバイエル・リサーチ&イノベーションセンター(BRIC)を設置しています。BRICにはプレシジョン・オンコロジー・リサーチ・センターがあるほか、循環器・腎・免疫領域の精密医療における創薬研究や早期開発に注力する経験豊富な科学者チームを擁しています。またBRICは、画期的なイノベーションと科学的ブレークスルーに焦点を当てたライフサイエンスインキュベーターの先駆的なグローバルネットワークの一躍を担うバイエルCo.Labケンブリッジの本拠地でもあります。
本共同研究の金銭的詳細は公表しておりません。
References:
1. Ferreira A, Ferreira V, Antunes MM, Lousinha A, Pereira-da-Silva T, Antunes D, Cunha PS, Oliveira M, Ferreira RC, Rosa SA. Dilated Cardiomyopathy: A Comprehensive Approach to Diagnosis and Risk Stratification. Biomedicines. 2023 Mar 9;11(3):834. doi: 10.3390/biomedicines11030834. PMID: 36979813; PMCID: PMC10044994.
循環器疾患および腎疾患におけるバイエルのコミットメントについて
バイエルは循環器領域のリーダーであり、アンメットメディカルニーズの高い循環器疾患の革新的な治療薬のポートフォリオを推進しています。バイエルのポートフォリオを心臓病に対する精密医療へと転換させ、循環器疾患による大きな負担に対処して長期的な成長を促進することにより、今後の循環器市場における未来を切り開くことを戦略としています。バイエルのポートフォリオには、革新的な製品や前臨床および臨床開発のさまざまな段階にある複数の化合物がすでに含まれています。
バイエルについて
バイエルは、ヘルスケアと食糧関連のライフサイエンス領域を中核事業とするグローバル企業です。私たちのミッション「Health for all, Hunger for none(すべての人に健康を、飢餓をゼロに)」のもと、バイエルの製品とサービスを通じて、世界人口の増加と高齢化によって生じる重要課題克服への取り組みをサポートすることで、人々の生活と地球の繁栄に貢献しています。バイエルは、持続可能な発展を推進し、事業を通じて良い影響を創出することに尽力しています。同時に、収益力を高め、イノベーションと成長を通して企業価値を創造することも目指しています。バイエルブランドは、世界各国で信用と信頼性および品質の証となっています。2024年のグループ全体の売上高は466億ユーロ、従業員数は約93,000名、研究開発費は62億ユーロです。詳細はwww.bayer.comをご参照ください。
バイエル薬品株式会社
2025年6月20日、大阪
将来予想に関する記述 (Forward-Looking Statements)
このニュースリリースには、バイエルの経営陣による現在の試算および予測に基づく将来予想に関する記述 (Forward-Looking Statements) が含まれている場合があります。さまざまな既知・未知のリスク、不確実性、その他の要因により、将来の実績、財務状況、企業の動向または業績と、当文書における予測との間に大きな相違が生じることがあります。これらの要因には、当社のWebサイト上(www.bayer.com)に公開されている報告書に説明されているものが含まれます。当社は、これらの将来予想に関する記述を更新し、将来の出来事または情勢に適合させる責任を負いません。