- 成人および小児患者を対象として、脳・脊髄および躯幹部・四肢領域における造影MRIを適応とする製造販売承認申請
- 今回申請した投与量は、0.1mmol Gd/kgで投与される既存の環状型ガドリニウム造影剤に比べ、ガドリニウム用量を60%低減1)
- ガドクアトラン水和物について、世界に先駆けて日本で製造販売承認を申請
バイエル薬品、開発中のMRI用造影剤(ガドクアトラン水和物)について、日本での製造販売承認を申請
大阪、2025年6月2日 ― バイエル薬品株式会社(本社:大阪市、代表取締役社長:イン・チェン、以下「バイエル薬品」)は、磁気共鳴コンピューター断層撮影(MRI)用に開発中の環状型ガドリニウム造影剤「ガドクアトラン水和物」(以下、ガドクアトラン)について、日本において製造販売承認を申請しましたのでお知らせします。この造影剤は、成人および小児患者において、中枢神経系(CNS)を含むあらゆる身体領域に対する既知または疑われる病変の抽出を目的としています。今回申請した投与量は、0.04mmol Gd/kgのガドリニウム用量であり、これは0.1mmol Gd/kgで投与される既存の環状型ガドリニウム造影剤に比べ、ガドリニウム用量を60%の低減に相当します。1)
ドイツ・バイエル社ラジオロジー研究開発責任者であるコンスタンツ・ディーフェンバッハは次のように述べています。「画像診断領域のリーダーとして、私たちは患者さんにベネフィットをもたらすために、ガドリニウムの用量を低減する可能性を含め、イノベーションを推進することにコミットメントしています。ガドクアトランが承認されれば、日本の放射線科医に患者さんの診断を支援する低用量ガドリニウムという新たな選択肢を提供することができます。低用量ガドリニウム造影剤という選択肢は、生涯にわたって複数回のMRI検査を受ける患者さんや小児患者さんにとって特に有益となるでしょう」
現在、日本で低用量ガドリニウムのMRI造影剤は承認されていません。人口の高齢化が進み、がんや心疾患などの慢性疾患が増加している日本では、国民一人当たりのMRI検査台数が世界最多で年間約2,000万件のMRI検査が行われています。2)
今回のガドクアトランの厚生労働省への製造販売承認申請は、成人および小児患者を対象とした有効性と安全性を評価するための第III相ピボタル試験(QUANTI試験)3)の肯定的なデータに基づいています。第III相ピボタル試験におけるQUANTI CNS試験の初めての結果は、本年2月の欧州放射線学会議(ECR)で発表され、今後の関連学会でもさらなる結果が発表される予定です。日本での申請は、ガドクアトランに対する最初の製造販売承認申請であり、今後数ヶ月の間に世界各国の保健当局への承認申請が予定されています。
1)申請時の用量。添付文書に記載される承認用法及び用量は、今後、規制当局による審査により決定されます。
2)AMR Imaging Market Guide 2023 Japan
3)第III相ピボタル試験(QUANTI試験) :成人を対象とした第Ⅲ相試験のQUANTI CNS試験及びQUANTI OBR試験(OBR :CNS以外のあらゆる身体領域)、並びに小児を対象とした第Ⅰ/Ⅲ相試験のQUANTI Pediatric試験が含まれます。
【第III相QUANTI試験について】
第III相ピボタル試験(QUANTI試験)では、ガドクアトランを0.04mmol Gd/kgの用量で検討しました。これは、0.1mmol Gd/kgで投与される既存の環状型ガドリニウム造影剤に比べ、60%のガドリニウム用量の低減につながります。QUANTI試験は、2つの大規模多施設共同、無作為化、前向き二重盲検、クロスオーバー第III相試験(QUANTI CNS試験およびQUANTI OBR試験)とQUANTI Pediatric試験から構成されています。本試験は、合計で15の国または地域において、808名の患者が参加しました。日本からは27施設が参加しました。
2025年1月、バイエル社は、臨床開発プログラムQUANTI試験のトップラインデータについて、ガドクアトランの描出パラメータと病変検出を評価する試験において、主要評価項目および主な副次評価項目を達成し、対照薬に対して非劣性であると示されたことを発表しました。ガドクアトランは、対照薬である既承認の環状型ガドリニウム造影剤と同様の忍容性を示し、治験薬と関連のある有害事象の発現率は低く、ガドクアトランおよび他の環状型ガドリニウム造影剤におけるこれまでの安全性プロファイルと概ね一貫しています。
【ガドクアトランについて】
ガドクアトランは、バイエルが開発中のMRI用の環状型細胞外液性ガドリニウム造影剤です。このガドリニウム造影剤は、高い緩和能および安定性を有する四量体構造が特徴とされています。
【MRI検査について】
世界中で年間推定6,500万件が行われている造影MRI検査は、医療の継続において重要な役割を果たしています。造影MRI検査は、放射線を使用することなく非侵襲的に身体の詳細な画像が得られる検査で、臓器や組織内の異常の鑑別や同定に役立ち、病変の検出、特性評価や経過観察において医師による医学的判断を支援します。
【バイエルの画像診断領域について】
バイエルは100年にわたり培った専門知識を基に患者ケアの向上を目指して、画像診断領域における革新的な製品と高品質なサービスを提供することに注力しています。バイエルの主要な画像診断ポートフォリオには、コンピューター断層撮影(CT)、X線撮影、磁気共鳴コンピューター断層撮影(MRI)の造影剤とデバイスが含まれています。またバイエルの包括的な製品群には、インフォマティクス・ソリューションや、デジタルおよび人工知能(AI)を活用したアプリケーションを備えた医用画像診断プラットフォームも含まれています。バイエルの画像診断製品の売上高は、2024年時点で約21億ユーロでした。バイエルは研究とイノベーションに注力しており、AIの統合を含む医用画像の進展を推進しています。
バイエルについて
バイエルは、ヘルスケアと食糧関連のライフサイエンス領域を中核事業とするグローバル企業です。私たちのミッション「Health for all, Hunger for none(すべての人に健康を、飢餓をゼロに)」のもと、バイエルの製品とサービスを通じて、世界人口の増加と高齢化によって生じる重要課題克服への取り組みをサポートすることで、人々の生活と地球の繁栄に貢献しています。バイエルは、持続可能な発展を推進し、事業を通じて良い影響を創出することに尽力しています。同時に、収益力を高め、イノベーションと成長を通して企業価値を創造することも目指しています。バイエルブランドは、世界各国で信用と信頼性および品質の証となっています。2024年のグループ全体の売上高は466億ユーロ、従業員数は約93,000名、研究開発費は62億ユーロです。詳細はwww.bayer.comをご参照ください。
バイエル薬品株式会社について
医療用医薬品、コンシューマーヘルスの各事業を通じて、日本の患者さんのための治療に変革をもたらす持続可能な取り組みを推進しています。医療用医薬品部門では、アンメットメディカルニーズの高い循環器・腎・代謝領域、オンコロジー領域、眼科領域などのスペシャリティ領域、画像診断領域にフォーカスし、革新的医薬品の提供を通じて高齢化が進む日本の患者さんの健康寿命の延伸とQOLの向上に努めています。コンシューマーヘルス部門では、赤ちゃんの「人生最初の1000日」に適切な栄養を届けるため、女性の妊娠準備と妊娠期間を支援するサプリメントなどに注力しています。詳細はwww.pharma.bayer.jp, Facebook, YouTubeをご参照ください。
バイエル薬品株式会社
2025年6月2日、大阪
将来予想に関する記述(Forward-Looking Statements)
このニュースリリースには、バイエルの経営陣による現在の試算および予測に基づく将来予想に関する記述 (Forward-Looking Statements) が含まれている場合があります。さまざまな既知・未知のリスク、不確実性、その他の要因により、将来の実績、財務状況、企業の動向または業績と、当文書における予測との間に大きな相違が生じることがあります。これらの要因には、当社のWebサイト上(www.bayer.com)に公開されている報告書に説明されているものが含まれます。当社は、これらの将来予想に関する記述を更新し、将来の出来事または情勢に適合させる責任を負いません。