本資料は9月9日にドイツ・バイエル社が発表したプレスリリースを日本語に翻訳編集したもので、報道関係者各位へ参考資料として提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語を優先します。原文はwww.bayer.com/media/en-us/をご参照ください。
HER2遺伝子変異非小細胞肺がん(NSCLC)を対象とした治験薬BAY 2927088の最新結果がWCLCで発表
- 治験薬BAY 2927088は経口低分子チロシンキナーゼ阻害剤でありHER2活性化変異を有するNSCLC患者に対する新たな標的治療となる可能性
- 米国食品医薬品局(FDA)および中国医薬品評価センターが2024年にHER2(ERBB2)活性化変異を有する切除不能または転移性NSCLCで全身療法の前治療を受けたことのある成人患者を対象にBAY 2927088を画期的治療薬指定
ドイツ・ベルリン、2024年9月9日 ― ドイツ・バイエル社は、HER2活性化変異を有する進行NSCLCを対象に、BAY 2927088の安全性と予備的有効性を検討する目的で進行中の第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験SOHO-01の拡大パートより、有望な結果が得られたことを発表しました。本データは、2024年9月7~10日まで米国サンディエゴで開催される国際肺癌学会(IASLC)主催IASLC 2024 WCLCのプレジデンシャルシンポジウムで発表されました。
ドイツ・バイエル社医療用医薬品部門研究開発責任者のクリスチャン・ロンメルは次のように述べています。「SOHO-01試験の拡大パートで得られた有望な結果は、治療選択肢が限られ予後不良な肺がんの一つであるHER2遺伝子変異NSCLCの患者さんの予後を、この標的治療が改善する可能性を示しています。BAY 2927088の開発は、肺がんに対するバイエルの継続的なコミットメントと、アンメットニーズが最も高い疾患領域で精密医療に対するヘルスケアソリューションを開発するバイエルの継続的な意欲を明確に示しています」
SOHO-01試験の治験責任医師であるテキサス大学MDアンダーソンがんセンター(テキサス州ヒューストン)のXiuning Le氏は次のように述べています。「HER2遺伝子変異NSCLCは、若年で喫煙歴のない人が罹患しやすく治りにくい疾患です。BAY 2927088は奏効率と奏効期間の両方で有望な予備的有効性を示すとともに、管理可能な安全性プロファイルを示しており、標準治療を向上させるための継続的なイノベーションの重要性を強調しています」
SOHO-01試験の拡大パートの目的は、HER2遺伝子変異NSCLC患者におけるBAY 2927088の安全性、忍容性、薬物動態を明らかにすることでした。これらのデータは、HER2遺伝子変異を有する進行NSCLC患者を対象に実施中のBAY 2927088の研究を後押しします。バイエル社は最近、HER2活性化変異を有する進行NSCLC患者を対象に、一次治療としての治験薬BAY 2927088の有効性と安全性を検討する非盲検、無作為化、多施設共同、第Ⅲ相臨床試験SOHO-02に、最初の患者が登録されたことを発表しました。
【SOHO-01試験の詳細結果について】
SOHO-01試験は、進行中の非盲検、多施設共同、第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験です。HER2活性化変異を有する進行NSCLCで、進行がんに対して1種類以上の全身療法後に病勢進行が確認され、HER2標的治療が未治療の被験者より得られた結果が発表されました。本試験において、被験者はBAY 2927088 20mgを1日2回経口投与されました。登録被験者44人のうち43人において有効性評価が可能であり、客観的奏効率(ORR)は72.1%(n=31、95%CI 56.3、84.7)で、完全奏効1人(2.3%)が含まれていました。奏効期間(DOR)および無増悪生存期間(PFS)の中央値は、それぞれ8.7カ月(95%CI 4.5、推定不能)、7.5カ月(95%CI 4.4、12.2)でした。最も頻度の高い変異体であるHER2 YVMA挿入変異症例では、ORRは90.0%、DORは9.7カ月、PFSは9.9カ月でした。
BAY 2927088の安全性プロファイルは管理可能であり、これまでの報告と一貫していました。治験薬投与下で発現した有害事象(TRAE)は被験者の95.5%、グレード3のTRAEは40.9%に報告されました。TRAEは下痢が最も多く(86.4%、グレード3が25.0%)、発疹(グレード1、2が43.2%)、爪周囲炎(グレード1、2が25.0%)が続きました。TRAEにより3人(6.8%)が治験薬の投与を中止しました。
【BAY 2927088について】
BAY 2927088は治験薬であり、規制当局によって使用が承認された国や適応症はありません。BAY 2927088は現在、HER2活性化変異を有するNSCLC患者を対象に、新たな標的治療の選択肢として評価を進めています。BAY 2927088は経口投与可能な可逆的チロシンキナーゼ阻害剤であり、ヒト上皮細胞増殖因子受容体2(HER2)エクソン20挿入変異やHER2点変異を含む変異型HER2および変異型上皮成長因子受容体(EGFR)を強力に阻害し、野生型EGFRに対して高い選択性を示します。治験薬BAY 2927088は、米国マサチューセッツ州ケンブリッジにあるマサチューセッツ工科大学、ハーバード大学のブロード研究所とバイエルの戦略的研究提携の成果です。
【画期的治療薬指定(Breakthrough Therapy Designation)について】
BAY 2927088の画期的治療薬指定は、HER2またはEGFR遺伝子変異を有する進行NSCLC成人患者を対象に、BAY 2927088の安全性、薬物動態および予備的有効性を評価した非盲検、多施設共同、ファーストインヒューマンの第Ⅰ相臨床試験(NCT05099172)より得られた予備的な臨床エビデンスに基づいています。画期的治療薬指定は、重篤、または生命に関わる疾患やQOLに深刻な影響を与える病態の予防や治療を目的とした新薬で、既存の治療法がない場合、または利用可能な治療法よりも新薬が優れていることを示す十分なエビデンスがある場合に、新薬の開発と審査の促進を目的としたプロセスです。
【非小細胞肺がん(NSCLC)について】
肺がんは、世界中でがん関連死亡の主要因となっています。NSCLCは肺がんで最も多く、85%以上を占めています。HER2活性化変異は、進行NSCLCの2%~4%に認められます。NSCLCと診断された方の80%はすでに進行した段階に達しており、治療が難しくなっています。HER2遺伝子変異のあるNSCLC患者は現在、限られた治療選択肢しかなく、より効果的な治療法が緊急に必要とされています。
バイエルのオンコロジーについて
バイエルは、革新的治療のポートフォリオを充実させることで、Science for a better lifeをお届けできるよう取り組んでいます。バイエルには、がんと共に生きる人々の生活の改善と生存期間の延長に役立つ新薬を開発する情熱と決意があります。バイエルのオンコロジーフランチャイズには、さまざまな適応症を持つ複数の製品と、臨床開発のさまざまな段階にある複数の化合物があります。当社は、腫瘍細胞の内因性経路、標的核医学治療、次世代腫瘍免疫学などの分野で豊富な専門知識を有しています。当社は、副作用を抑えながら生存期間を延長することを目標に、早期から転移期までの前立腺がん治療を推進しています。バイエルは革新的なプレシジョンオンコロジー治療薬に注力しており、その一環として、腫瘍の増殖と転移を促進する発がん性因子であるNTRK融合遺伝子を有する腫瘍の治療に特化したTRK阻害剤が承認されています。
バイエルについて
バイエルは、ヘルスケアと食糧関連のライフサイエンス領域を中核事業とするグローバル企業です。私たちのミッション「Health for all, Hunger for none(すべての人に健康を、飢餓をゼロに)」のもと、バイエルの製品とサービスを通じて、世界人口の増加と高齢化によって生じる重要課題克服への取り組みをサポートすることで、人々の生活と地球の繁栄に貢献しています。バイエルは、持続可能な発展を推進し、事業を通じて良い影響を創出することに尽力しています。同時に、収益力を高め、イノベーションと成長を通して企業価値を創造することも目指しています。バイエルブランドは、世界各国で信用と信頼性および品質の証となっています。2023年のグループ全体の売上高は476億ユーロ、従業員数は約100,000名、特別項目計上前の研究開発費は58億ユーロです。詳細はwww.bayer.comをご参照ください。
バイエル薬品株式会社
2024年9月13日、大阪
将来予想に関する記述 (Forward-Looking Statements)
このニュースリリースには、バイエルの経営陣による現在の試算および予測に基づく将来予想に関する記述 (Forward-Looking Statements) が含まれている場合があります。さまざまな既知・未知のリスク、不確実性、その他の要因により、将来の実績、財務状況、企業の動向または業績と、当文書における予測との間に大きな相違が生じることがあります。これらの要因には、当社のWebサイト上(www.bayer.com)に公開されている報告書に説明されているものが含まれます。当社は、これらの将来予想に関する記述を更新し、将来の出来事または情勢に適合させる責任を負いません。