- 探索的バイオマーカー試験FIGARO-BMよりフィネレノンの作用機序に関する新たな知見として同剤が炎症・線維化に関連するマーカーと経路に作用することを示すヒトバイオマーカーのデータ1
- 実臨床でフィネレノンによる治療を受けた2型糖尿病を合併する慢性腎臓病(CKD)患者の臨床的特徴と治療パターンを評価する前向き試験FINE-REALの中間解析の結果、高カリウム血症の発現率は2つの第Ⅲ相臨床試験と同程度2
- FINE-REAL試験は2型糖尿病を合併するCKD患者をマネジメントする臨床医の意思決定に役立つ情報を提供
2型糖尿病を合併する慢性腎臓病患者の主要な腎疾患進行要因および実臨床に関するケレンディア®(フィネレノン)の新データが発表
大阪、2023年11月10日― バイエル薬品株式会社(本社:大阪市、代表取締役社長:フリオ・トリアナ、以下「バイエル薬品」)は、2型糖尿病を合併するCKDの治療薬で、非ステロイド型選択的ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)であるケレンディア®(一般名:フィネレノン)について、同剤の作用機序、および、実臨床で同剤による治療を受けた2型糖尿病を合併するCKD患者の特徴に関し、新たな2つのエビデンスがASN腎臓週間2023で発表されたことをお知らせします。
FIGARO-BM試験は、フィネレノンの作用機序を解明することを目的とした探索的バイオマーカー試験です。同試験により、2型糖尿病を合併するCKD進行の主な要因である炎症および線維化に、フィネレノンが作用することを示すヒトバイオマーカーのデータが得られました。第Ⅲ相臨床試験FIGARO-DKDにおいて、プラセボまたはフィネレノンが少なくとも24カ月間投与された21カ国の被験者945人より採取した生体試料を用いて、2,900以上の血漿バイオマーカーが解析されました。治療反応性のバイオマーカー解析の結果、炎症、線維化、およびミネラルコルチコイドの分子生物学に関連する経路のクラスターが同定され、フィネレノンが炎症・線維化に作用する可能性を示した前臨床の知見と一致しました1。
FINE-REAL試験は海外の多くの国で行われている前向き研究で、2型糖尿病を合併するCKD患者の臨床的特徴と治療パターンを評価しています。患者さんは各国の承認事項に従い、フィネレノンの治療が行われています。中間解析(追跡期間中央値7カ月)では、次の知見が得られました2。FINE-REAL試験の全体解析結果は、2028年に得られる見込みです。
- 患者さんの88%がフィネレノン10mg、12%が同20mgを使用
- フィネレノンの投与開始後に治療を継続、中断、中止した患者さんは順に92.3%、5.4%、1%
- 国際的腎臓病ガイドライン機構(KDIGO)リスク分類で低リスク、中リスク、高リスク、超高リスクに分類された患者さんの割合は順に2%、22%、27.9%、48.2%
- フィネレノン投与下での高カリウム血症の発現率は、第Ⅲ相臨床試験FIDELIO-DKD、FIGARO-DKDで観察された発現率と同程度
埼玉医科大学名誉教授・名誉病院長、かわごえクリニック客員教授の片山茂裕先生は次のように述べています。「臨床医にとって、フィネレノンが炎症および線維化に作用することを示すヒトバイオマーカー試験の結果は、歓迎すべきニュースです。また、FINE-REAL試験の中間解析結果より、実臨床におけるフィネレノン投与下での高カリウム血症の発現率は、第Ⅲ相臨床試験FIDELIO-DKDおよびFIGARO-DKDの発現率と同程度と示されたことは非常に重要です。実臨床におけるフィネレノンの使用について知識を深め、患者さんの治療を最適化するため、全体解析結果の発表を楽しみにしています」
ドイツ・バイエル社医療用医薬品部門の経営委員会メンバーで研究開発責任者のクリスチャン・ロンメルは次のように述べています。「FIGARO-BM試験から得られたバイオマーカーに関する知見は、2型糖尿病を合併するCKDの革新的な治療選択肢として、ケレンディア®の可能性を最大限に活用するための重要なマイルストーンです。既存の前臨床データに加え、ケレンディア®が炎症・線維化に作用することを示すヒトバイオマーカーのデータも得られました」
【ケレンディア®について】
ケレンディア®(一般名:フィネレノン)は、ドイツ・バイエル社が創製した1日1回経口投与の非ステロイド型選択的MRAです。ケレンディア®は、ミネラルコルチコイド受容体(MR)の過剰活性化による悪影響を抑制することが示されています。MRの過剰活性化は、代謝、血行動態、炎症や線維化の要因によって引き起こされる可能性のあるCKDの進行や心血管障害に寄与します。
ケレンディア®は日本において、2つの第Ⅲ相臨床試験FIDELIO-DKD、FIGARO-DKDの結果に基づき、厚生労働省より「2型糖尿病を合併する慢性腎臓病 ただし、末期腎不全又は透析施行中の患者を除く」を効能・効果として2022年3月に承認され、同6月よりバイエル薬品が販売しています。
ケレンディア®の臨床試験プログラムFINEOVATEは現在、心不全(HF)とCKDをそれぞれ対象とした10件の第Ⅲ相臨床試験で構成されています。CKDのTHUNDERBALLプログラムは、FIDELIO-DKD試験、FIGARO-DKD試験、FIND-CKD試験、FIONA試験、FIONA-OLE試験、FINE-ONE試験、および第Ⅱ相臨床試験CONFIDENCEで構成されています。一方、HFのMOONRAKERプログラムには、FINEARTS-HF試験、REDEFINE-HF試験、CONFIRMATION-HF試験、FINALITY-HF試験が含まれています。
【2型糖尿病を合併するCKDについて】
CKDは一般的な疾患であり、死に至る可能性がありますが、広く認知されていません。CKDは静かに、予測不可能に進行し、多くの症状は疾患がかなり進行するまで現れません。CKDは、糖尿病に起因する最も多い合併症の一つであり、心血管疾患の独立した危険因子でもあります。2型糖尿病患者の最大40%がCKDを発症します。ガイドラインに基づく治療にもかかわらず、2型糖尿病を合併するCKD患者は、CKDの進行および心血管イベント発現のリスクが依然として高いままです。CKDは、世界中で1億9,000万人以上の2型糖尿病患者に影響を及ぼしていると推定されています。2型糖尿病を合併するCKDは、生存のために透析または腎移植を必要とする末期腎不全の主な原因です。2型糖尿病を合併するCKD患者は、2型糖尿病のみの患者さんよりも心血管系疾患で亡くなる可能性が約3倍高くなります3。
References:
1. ASN Kidney Week 2023, ABSTRACT: TH-OR53
2. ASN Kidney Week 2023, ABSTRACT: SA-PO481
3. Afkarian M, et al; J Am Soc Nephro. 2013;24:302-308
循環器疾患および腎疾患におけるバイエルのコミットメントについて
バイエルは、循環器疾患領域における革新的リーダーとして、革新的治療のポートフォリオを充実させることで、「Science for a better life」をお届けできるよう長年にわたり取り組んでいます。心臓と腎臓は健康や疾患において密接に関わっており、バイエルはアンメットメディカルニーズが高い循環器疾患と腎疾患に対する新しい治療アプローチについて、幅広い領域で取り組んでいます。バイエルの循環器フランチャイズには多くの製品があり、前臨床および臨床開発のさまざまな段階にあるその他いくつかの化合物があります。これらの製品・化合物は、循環器疾患の治療法に影響を与える可能性のある標的やシグナル伝達経路を優先的に開発するバイエルのアプローチを反映しています。
バイエルについて
バイエルは、ヘルスケアと食糧関連のライフサイエンス領域を中核事業とするグローバル企業です。その製品とサービスを通じて、世界人口の増加と高齢化によって生じる重要課題克服への取り組みをサポートすることで、人々の生活と地球の繁栄に貢献しています。バイエルは、持続可能な発展を推進し、事業を通じて良い影響を創出することに尽力しています。同時に、収益力を高め、技術革新と成長を通して企業価値を創造することも目指しています。バイエルブランドは、世界各国で信用と信頼性および品質の証となっています。グループ全体の売上高は507億ユーロ、従業員数は約101,000名(2022年)。特別項目計上前の研究開発費は62億ユーロです。詳細はwww.bayer.comをご参照ください。
バイエルのミッションについて
世界中のバイエル社員は、「Health for all, Hunger for none(すべての人に健康を、飢餓をゼロに)」というミッションの実現に向け、革新的な製品とサービスを通じて、医療と食糧へのアクセス向上に貢献しています。私たちは、飢餓をなくし、すべての人々が健康的な生活を送れるよう疾病の予防、緩和、治療を支えると同時に、持続可能な農業と生態系の保護を目指しています。詳細はwww.bayer.jpをご参照ください。
バイエル薬品株式会社について
医療用医薬品、コンシューマーヘルスの各事業を通じて、日本の患者さんのための治療に変革をもたらす持続可能な取り組みを推進しています。医療用医薬品部門では、循環器・腎臓領域、オンコロジー領域、眼科領域、婦人科領域、血液領域、画像診断領域に、コンシューマーヘルス部門では、赤ちゃんの「人生最初の1000日」に適切な栄養を届けるため、女性の妊娠準備と妊娠期間を支援するサプリメントなどに注力しています。詳細はwww.pharma.bayer.jp, Facebook,YouTubeをご参照ください。
バイエル薬品株式会社
2023年11月10日、大阪
将来予想に関する記述(Forward-Looking Statements)
このニュースリリースには、バイエルの経営陣による現在の試算および予測に基づく将来予想に関する記述 (Forward-Looking Statements) が含まれている場合があります。さまざまな既知・未知のリスク、不確実性、その他の要因により、将来の実績、財務状況、企業の動向または業績と、当文書における予測との間に大きな相違が生じることがあります。これらの要因には、当社のWebサイト上(www.bayer.com)に公開されている報告書に説明されているものが含まれます。当社は、これらの将来予想に関する記述を更新し、将来の出来事または情勢に適合させる責任を負いません。