現代女性が、望むライフプランを実現するために知っておくべきこと

ひと昔前に比べて女性の社会進出が増え、ライフプランの選択肢に広がりが出てきました。
この様な変化がもたらした新たな課題や、女性がライフプランを考える上で欠かせない“妊娠・出産”について「現代的避妊法と予定外妊娠」にもふれながら、産科婦人科学の専門家・大須賀穣先生にお話を伺いました。

 

teacher-minoru_osuka-01.png 東京大学大学院 医学系研究科 産婦人科学講座 教授
大須賀 穣 先生北村邦夫 先生

 

 

 

 

 

 

女性のライフスタイルの変化によって、“妊娠・出産”について、課題となって現れてきたことはありますか?

cnt-img-01_9.png 一つ目は、晩産化です。
女性の社会進出が進み、20〜40代の就業率が高まると同時に、キャリアを積むため子育てを先送りする傾向になってきています。
昔は多くの場合、35歳までに出産し終えていたのが、今では第一子出産年齢は平均で30歳を超えています。35歳を過ぎてから不妊症の治療を開始する方も少なくありません。

 

"月経がある限り何歳でも出産できる"というのは大きな間違いです。毎月排卵があっても、卵子の質は年齢が上がるにつれて低下していきます。この“卵子の老化”について、一般女性の知識が極めて少ないと感じています。また、高齢出産は早産や母体の心臓への負担など、母子ともに健康上のリスクもありますから、生物学的には若いうちに出産した方が良いのです。

 

二つ目は、月経回数の増加です。
昔の女性では、子どもを一人産むと、約9か月の妊娠期間と、約2年の授乳期間、合計で3年程度、月経が来ない期間がありました。何人も産むと、3年×出産人数の期間、月経がない計算になります。少子化が進展した現代の女性では、昔に比べて長期間にわたって月経がある。それは女性の体にとって大きな負担になっています。月経回数が多いということは、子宮内膜症や月経困難症、月経前症候群など、月経による体調不良に悩む方も増加していると言えます。

 

月経関連疾患は、月経周期にともなうホルモンの変化によって起こります。そこにストレスが重なって、症状が重くなる場合も。規則正しい生活、バランスの良い食事、適度な運動を心がけましょう。

 

これらの治療にホルモン剤を使う方法もあります。低用量ピルには、避妊目的のものと、治療目的のものがあり、避妊のためだけでなく、月経にまつわる不調の改善のために使用されることがあります。症状がひどくなる前に、ぜひ婦人科で相談してください。

 

 

日本の女性の課題について浮き彫りになりましたが、海外の女性に焦点を当てると、日本との大きな違いはありますか?

大きな違いとしては、例えば欧米では50年くらい前からピルが導入されていて、「女性の体は女性自身が守る」という意識が高いことです。それに比べて、日本で低用量ピルが導入されたのは20年前。
「避妊具といえばコンドーム」という考え方がいまだに根強く、世界の女性たちと比べると、避妊についての考え方は遅れていると感じています。もちろんコンドームは性感染症の予防には必須ですが、実は避妊の失敗率が高いということを知らない人が多いようです。*

 

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  • *. Hatcher, R. A. et al.:Contraceptive Technology:Twentieth Revised Edition, New York:Ardent Media,2011(改変)]

teacher-minoru_osuka-02.jpg また、フランスでは、現代的避妊法(①OC(経口避妊薬)、②子宮内システム(IUS)、③子宮内避妊用具(IUD))の普及率が58.1%であるのに対して、日本はわずか1.3%と大きな差があります。
現代的避妊法という"手段"があっても、その“知識”と使うための"意識"がないと普及は難しい。時間はかかると思いますが、日本でも正しい情報を多くの人に知ってもらいたいですね。

 

 

 

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