fermata株式会社 CCO 中村 寛子 さん

第1回:働く女性と生理について

生理痛や女性特有の体調変化で悩む多くの女性にとって、自分らしく活き活きとキャリアを積み重ねていくことは簡単ではありません。
今回は、いま話題のフェムテック企業として、これらの悩みを解消するような活動をされているfermata株式会社 CCO 中村寛子さんにお話を伺いました。

 

生理や女性特有の体調変化に関する悩みはお持ちですか?

私は高校生のときから、ひどい生理痛に悩まされていました。どのくらいの痛みかと聞かれると、それはもう実際に気を失ってしまうほどの痛みです。「あ、きたかな」と思うと、突然たくさんの脂汗が出てきて完全に動けなくなりました。ときには、駅のホームでその場に体育座りしてしまうことも。自宅に居るなら別として、通学中やアルバイトに行くときは本当に大変でした。


生理痛がひどいときに痛み止めを服用することもありましたが、私の場合は効くまでに30分ほどかかることがほとんどでしたので、その30分間は本当に辛かったです。
18歳のときに留学先のイギリスで低用量ピルを初めて服用してからは、気を失う程の痛みや脂汗をかくことがなくなり体調が明らかに楽になったこと*を覚えています。それで、社会人になってからも服用を継続することにしました。
今はかかりつけの婦人科があるので、パートナードクターである婦人科医に生理痛のほか、生理期の嘔吐といったつらい症状については相談するようにしています。


※薬物治療の効果の表れ方、実感には個人差があります。

 

友人や家族、そのほか身近なひとで生理痛の悩みを相談することはありましたか?

第1回:働く女性と生理について

私は日本では高校は女子校に通っていましたが、生理痛について友人と相談した記憶はありません。たとえば、“生理がきたから緊張感がある”というようなことは話していましたが、実際の痛みの程度や悩みを打ち明けるものではないと思っていました。

また、家族の中でも同じように、“生理は病気ではない”といった思い込みがあったのかもしれません。今考えれば病院に行くべきだったと思いますが、当時は「生理痛やPMSがひどいから病院に行こう」というような認識はありませんでした。


そんな私が低用量ピルを飲み始めたきっかけは、留学先で出会ったクラスメイトの一言です。生理痛でつらそうにしている私を見て、友人が「どうして、そんなにつらいのに低用量ピルを飲まないの?」と声をかけてくれました。特別な選択肢として、というよりは、ごく当たり前の選択肢なのになぜ?といった風に声をかけてくれたのが、当時の私にとっては新鮮でしたね。

 

低用量ピルについてお持ちのイメージを教えてください。

私自身は良くないイメージというのはありませんでしたが、避妊目的というイメージが強かったのも確かです。日本で生まれ育った友人からは、低用量ピルをテーブルの上に置いておいただけで、その場にいた人から「使用済みのコンドームのようなものをテーブルの上に置かないでくれ」と言われたというような話を聞きました。
このような話を聞いていたためか、私は社会人になってから婦人科に通院して処方を受けているということについて、自ら進んで言うことはしていませんでしたね。

 

例えば低用量ピルにおいては、パパブロック・ママブロックと呼ばれる親世代の反対のせいで、子どもたちが服用できないといった課題が取り沙汰されています。
生理や女性の特有の体調変化について理解を深めていくために、どのような活動をされていますか?

第1回:働く女性と生理について

fermataの事業自体がもちろんそのような活動に繋がっています。吸水ショーツブランドを展開する企業が主催されている生理についての“親子セミナー”を一緒に開催させていただいたことがあるのですが、非常に学びの多い時間でした。生理のメカニズムや生理期間中に使えるツールの紹介などもしていて、参加者の中には生理痛やPMSといった生理に関する悩みをかかえる方々も多くいらっしゃいます。


お話を聞くと、やはり「低用量ピルは怖いもの」という誤解をされている方が多いですね。でも、婦人科の医師なども一緒に活動していく中で、そのような誤解がなくなっていかれることも感じています。
低用量ピル一つをとっても、誤解をひも解いて正しい知識をきちんと身に付けることは重要です。私自身も学生時代に生理痛で悩んだ経験があるので、多くの方にそれらを解消するための対処法や、複数の選択肢があることを知っていただきたいと思って活動しています。

 

つらい実体験を踏まえて生み出されるアイデアや、それを仕事に対して展開する背景について教えてください。

第1回:働く女性と生理について

実は私のなかで勝手に、“生理は経験を積めば積むほど慣れていくもの”と勘違いしていました。徐々に生理痛にも慣れて対処法も分かってきて、歳を重ねるごとに楽になっていくと思い込んでいたのです。でも現実は異なり、高校生のときにはなかった排卵痛や身体のむくみなど、生理と生物学的女性の身体の悩みは少しずつ形を変えながら付きまとってくるということが分かってきました。


fermataの事業は、これらの経験にひとつずつ向きあいながら、同じような経験やモヤモヤを抱えたお客さんに解決策を提供していく、いわば自らの「実証実験」であると考えています。そのためには自分の体調変化に気付き、どのように対処していくべきなのかを日々考えていく姿勢が欠かせません。そして、自らの身体が出すサインに対し、正直に向き合うということが大切だと改めて実感しています。少なくとも20代のときの私には、このような考え方が出来ていませんでしたし、この記事を読んでいらっしゃる働き盛りの世代の皆さんも、ついつい頑張り過ぎてしまいがちなのではないでしょうか。女性の健康課題を解決できる選択肢がたくさんあることを知ってもらうことで、自分の身体と向き合うキッカケにも繋がるのではないかと考えています。

 

女性自身が、働きながら生理や女性の健康に関する正しい情報を得るためには、どのようなことが必要でしょうか?

現代では、本当に多くの情報が飛び交っています。とくに数の多い意見を見るとつい、正しい情報と誤認して見てしまいがちな世の中です。その情報が信じてよいものかどうかは自らの“納得感”にしたがってみるのも一つ、大事なことだと思っています。たとえば、フェムテック関連アイテムであれば実際に手に取って試着したり触ってみたり。自分で納得して、「これだったら!」と思えることを大事にしてみてください。


ただし、身体のことについては何か病気が隠れているといけないので、たかが生理痛と思わないで病院を受診することが大切だと思います。自分の身体をきちんと理解していないと正しい情報の判断は元より、自分に合った対処法にはどの様なものがあるのか、選択肢が複数あるのかすら分かりません。
そしてこれだけ多くの情報をWeb上で気軽に検索することができたとしても、デジタルの限界を感じることは多々あります。口コミをうのみにせず、リアルな体験も大切にしてもらえればと思います。

fermata株式会社

2019年の創業以来、「あなたのタブーがワクワクに変わる日まで」をビジョンに掲げ、未だタブー視される傾向にある女性のウェルネス課題を解決・支援する事業を行っている。
2022年10月には国内最大級のフェムテック展示イベント「Femtech Fes! 2022」を開催し、2900人が来場。

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