生理痛の治療に関する素朴な疑問にお答えします

生理痛の悩みを抱えていても、なかなか相談できなかったり、婦人科に行きづらいと感じている人もいるのではないでしょうか。また生理痛の治療薬である「低用量ピル」に興味があっても、なかなか一歩踏み出せない人もいるかもしれません。今回は、生理痛やピルの疑問についてお答えいただきました。

*低用量ピル(ピル)には、避妊目的で使用される経口避妊薬(OC)と、治療目的で使用される保険適用のある低用量エストロゲン・プロゲスチン製剤(LEP)があります。このページではLEPのことを指しています。

Q1.ピルを飲むことになんとなく抵抗があります…
A.「なんとなく」の不安は正しい情報を知って解消しましょう。

家族や周囲の人から「ピルはこわい薬だ」と言われた人もいるでしょう。しかし、ピルの安全性は様々なデータにより確認されています。例えば、ピルの副作用の一つに、血管の中で血液が固まる「血栓症」があります。対処が遅れると、ときに命を落とすこともある副作用ですが、実は血栓症はピルを服用していない女性でも起こり、ピルを飲んでいる人の中で血栓症を起こす人の割合は、例えば妊婦さんがその病気になる確率よりも低いのです。加えて、血栓症で突然亡くなるということはほとんどなく、胸の痛みや手足のしびれなどの症状が先に現れます。症状が出たときにしっかりと対処できれば、命にかかわるようなことが起きることを心配することはありません。

また、SNS等から、吐き気や不正出血、体重増加などのマイナートラブルと言われる経験を見聞きした人もいるでしょう。このような症状は飲み始めの1、2か月が最も起きやすく、飲み続けることで徐々に治まることがほとんどです。そのような症状のあった人もそのまま飲み続けていたら、問題なく過ごせていたかもしれません。 このようにピルに抵抗がある人のなかには、断片的な情報から、漠然と負のイメージを抱いている人が多い印象があります。まずは正しい情報を手に入れて、不安を解消し、そこから判断してもらえたらと思います。

このほかにも、「ピルは避妊が必要な人が飲む薬」というイメージがあるかもしれませんが、そんなことはありません。実際最近では、特に若い女性たちのあいだで「ピルは生理痛の薬」という正しい認識が広がっていると日々の診察の中で感じます。ピルを飲むことは「周囲に知られてはいけない恥ずかしいこと」ではないですよ。むしろ、生理痛を緩和させるためにピルを飲んでいることは“健康に対する意識が高い証拠”というトレンドが今後さらに広まると良いなと思っています。それに実際、女性のヘルスリテラシーの高さが、仕事のパフォーマンスの高さに関連しているというデータ※も出ています。

※出典:「働く女性の健康増進に関する調査2018」(日本医療政策機構)

Q2. 生理の回数が減るピルがあると聞きました。
そんなことをして大丈夫でしょうか?
A.大丈夫です。むしろメリットもあります。

低用量ピルのなかには、休薬期間や偽薬の期間を設けずに飲み続けることで最大3~4か月生理が起こらなくなるものもあります。よく「生理が毎月来なくて大丈夫ですか?」と質問されますが、病気で生理が毎月来ないのは問題ですが、この薬によって生理の回数が減るぶんには問題はありません。むしろ生理の回数が減ることで、出血時の苦痛を軽減できるメリットがあります。私が診察している患者さんにもこのタイプの薬を使用している人が沢山いますが、「生理の回数が減って本当に楽になった」と言う人がとても多いです。

ただし、デメリットもあります。生理の出血が毎月来こないため、万が一妊娠したときに気づくのが遅れる可能性があります。また、薬を飲んでいる間に出血が起こることもあります。これ自体に問題はないのですが、「生理がいつ来るのかをはっきりさせたい」と思う人には不向きかもしれません。婦人科の先生に相談の上、ライフスタイルや好みに応じた薬を処方してもらってください。

Q3.生理痛があって、仕事も家事も思うように進みません。
私だけでしょうか?
A.あなただけではありません!
そういう方がたくさん婦人科を受診され、元気になっています!

生理に関連するさまざまな症状によって、仕事のパフォーマンスが下がったり、学校の成績が下がったり…生理の諸症状が女性の生活の質に影響を与えていることは、国際的にも証明されています。私の患者さんにも、生理痛がきっかけで退職、パートタイムへの変更、管理職の辞退などを経験したという方がたくさんいます。でも、治療して症状が落ち着くとみなさん、「こんなことなら早く受診すればよかった」とおっしゃいます。生理痛で苦しい思いをしているのはあなただけではありません。安心して、婦人科で相談してください。

もう一つ、婦人科医にぜひ相談してほしいことに性交時痛があります。子宮内膜症という病気があると生理痛だけでなく、性交時痛が見られることがあります。これが原因でパートナーとの関係性に悩みを抱えている人も少なくありません。セックスをしても痛みで楽しめないなど、自己肯定感が傷つけられることもあります。相談しづらいかもしれませんが、一人で悩んでいるうちにどんどん悪化してしまうかもしれません。婦人科医は、女性の健康をトータルでサポートする「ウィメンズ・ヘルス・ケア医」です。セクシャルなこともぜひ、相談してください。

Q4.なるべく婦人科に行きたくありません。
生活の改善で生理痛を治せないですか?
A.生理痛はあなたが悪いわけではない、生活改善では治せないことも。
医療機関で相談した方が早く解決することができます。

一般論として、健康的な生活を送ることは体にいいことですし、統計的に傾向を見ればそういう人の方が生理痛で悩むことが少ないのかもしれません。でも、どんなに完璧に健康的な生活を送っていても、生理痛がおきてしまうこともあります。つまり、あなたの生活に何か悪いところがあるから生理痛がおきているのではないのです。生理痛を緩和させようと生活習慣の改善を試みることが悪いこととは思いません。けれどもそれだけで我慢をつづけて何ヶ月も過ごしてしまうより、一度婦人科で相談した方が早く解決することができますよ。生理痛は「病気」として保険診療で診断や治療など医学の助けを受けられるものです。生理痛でつらいのは、決してあなたが悪いわけではない、ことを覚えておいてください。

生理痛で困っている人はぜひ、髪型を美容師に相談するように、婦人科で相談してもらえたらと思います。恋愛も仕事もプライベートも、体が健康であってこそ輝くものです。自分の体に注意を向けて、長期的な目線で体調を整えてもらいたいです。そのための投資として、婦人科を利用してもらえたら嬉しいです。

PP-YZF-JP-0747-24-06